車体が大きいからすり抜けが怖い?
「ビッグスクーターは大きくて重いから、渋滞のすり抜けは無理だ」と諦めている方は意外と多いのではないでしょうか。
確かに、原付や125ccクラスのスクーターと比べれば、その車格は圧倒的に巨大です。
しかし、冷静にスペック表を見てみると、実はハンドルの幅自体はネイキッドバイクや大型バイクとそこまで大きく変わらないことに気づきます。
では、なぜビッグスクーターはすり抜けが難しいと感じるのでしょうか。
その最大の要因は、車幅そのものよりも「ホイールベースの長さ」と「ミラーの位置」にあります。
ビッグスクーターは直進安定性を重視してホイールベースが長く設計されているため、小回りが利きにくく、車の間を縫うようにジグザグ走るのが苦手です。
また、多くのモデルでボディマウントされているミラーは、ハンドル操作と一緒に動かないため、車との距離感が掴みづらく、一番外側に飛び出している部分をぶつけてしまう恐怖心が先に立ってしまいます。
物理的に通れるスペースがあっても、「後ろが長いから接触するかもしれない」という心理的な圧迫感が、すり抜けを難しく感じさせている正体なのです。
無理に隙間を行こうとせず、自分が確実に通れる広いスペースだけを選ぶという意識に変えるだけで、すり抜けが軽減されますよ。
車体を傾けずに直立させる!リアブレーキを使った低速走行のコツ
アクセルとブレーキの同時操作が安定の鍵
渋滞時の低速走行やすり抜けで最も怖いのは、スピードが落ちすぎてバランスを崩し、ふらついてしまうことではないでしょうか。
マニュアル車であれば半クラッチを使ってバランスを取ることができますが、オートマチックのビッグスクーターにはそれがありません。
そこで私が実践している、誰でもすぐに真似できるテクニックがリアブレーキの引きずりです。
ビッグスクーターの構造上、完全にアクセルを戻してしまうと駆動力が切れ、タイヤが空転するような状態になり、車体は不安定になります。
これを防ぐために、アクセルを少し開けてエンジンの駆動力をタイヤに伝え続けながら、同時に左手のリアブレーキをじわりとかけてスピードを抑えるのです。
すると、車体が前に行こうとする力と、ブレーキで止めようとする力が喧嘩し、チェーンが張ったような状態(トラクションが掛かった状態)が生まれます。
すると不思議なことに、車体は一本の棒が通ったようにピシッと安定し、極低速でもふらつかなくなります。
この「アクセルON+リアブレーキ」の状態を維持すれば、足を地面につかなくても歩くような速度で安定して進めますよ。
視線は隙間ではなく出口に向ける
もうひとつのコツは、車体を無理に傾けないことです。
スポーツバイクのように車体をバンクさせて曲がろうとすると、その分だけ横幅のスペースが必要になり、隣の車に接触するリスクが高まります。
すり抜けや狭い場所での方向転換は、車体を地面に対して垂直に保ったまま、ハンドル操作だけで曲がるのが鉄則です。
そして、何よりも大切なのが視線のコントロール。
人間は不思議なもので、ぶつかりそうだなと思って車のバンパーやサイドミラーを見つめると、無意識に車体がそちらへ引き寄せられてしまいます。
狭い道を通るときは、障害物を見るのではなく、自分が通り抜けたい空間の出口を遠くに見るようにしてください。
私が意識しているのは、目の前の車の少し先、2台か3台前の車の動きを見るイメージです。
視線を遠くに置くことで平衡感覚が安定し、恐怖心も和らぎますよ。
